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グラウンド部分は今も昔も変わらないように見えたが、振り返ったそこに校舎はなく。
ただ燃え落ちた兵舎の黒い残骸だけがあった。
いつかここにあの校舎が建ち、私たちはまた出会うだろう。
柊……。
「さよなら」
「娘、急げっ」
「澪ですっ」
と叫び返しながら、澪は前世の柊、片桐少尉について歩いていった。
いつの間にか日は暮れ、空に昇るのは、今も昔も変わらぬ
――満月。
完
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