緊急事態

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緊急事態

 オレの名前は『みたらし』。  二歳の柴犬だ。  おなかが痛い。  キャウン、キャウーーン!  電気が点いた。  パパさんとママさんが起きてくる。  はいはい、夜中だということは十分承知しております。  でも、緊急事態なんだ。  おなかが痛くて、たまらないんだ。  トイレに! トイレに連れてってくれーー!!  ガリガリガリガリ。  パパさんとママさんが顔を見合わせる。  痛い痛い!  オレはリードを咥えて、パパさんの前に置く。  ようやく緊急事態を悟ってくれたようで、パパさんが懐中電灯を片手に、付き合ってくれた。  カメラは、いらないってば!!  オレは這うような姿勢で、パパさんを引っ張る。  息が荒くなる。  ……ふぅ。  スッキリした。  ワン!  草むらで用を足したオレは、パパさんを引っ張った。  さ、帰ってまた寝るよ!  パパさんが苦笑いしながら大あくびをする。  どんまい、パパさん。  そして今日も夜が()ける。
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