フリーマーケット

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フリーマーケット

 オレの名前は『みたらし』。  二歳の柴犬だ。  暖かい。  芝生が気持ちいい。  思わず、シッポがパタパタ動く。  オレは伏せをしながら、横を見た。  パパさんが大声で呼び込みをしている。  ここは、フリーマーケットとやらの会場だ。  このフリーマーケットとやらの情報を入手してから、パパさんは目の色を変えてモノ作りを始めた。  缶バッヂ、ポストカード、写真入りキーホルダー。  全部、オレの写真入りだ。  要は、この会場でオレの写真入りグッズを売りたいらしい。  ……売れるか? そんなもん。  パパさんはグッズを作る為に、なけなしの小遣いを投資した。  パパさんの皮算用では充分に元が取れると出た。  うちの子グッズが売れないわけがない、らしい。  カァ、カァ、カァ。  そろそろ夕暮れだ。  周りのみんなが撤収を始めた。  両脇のテントは結構売れたようだ。  ホクホク顔で荷物をまとめている。  パパさんも、無言で売れ残ったグッズをダンボールに詰め始める。  いくら売れたかって?  ゼロだよ。  どんまい、パパさん。  そして今日も日が暮れる。
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