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氷
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
今日は暑いなぁ。
庭の木陰で涼んでいると、パパさんが小皿を持ってきた。
中に四角くて透明な物体が乗っている。
……なにこれ。
嗅いでみるが臭いもしない。
なんだこれ。
舐めてみる。
冷たっ!
なんだこれ、なんだこれ!
面白ーーーーい!!
オレは夢中になって、それを舐めた。
パパさんがカメラを回しながら、それの名前を教えてくれた。
『氷』というらしい。
ガリッ、ガリッ。
あっという間に無くなってしまったので、オレは次を要求した。
いい画が撮れたからか、パパさんが追加で二個、持ってきてくれた。
なんと、二個ももらえるのか!
一個を口に入れながら、オレは考えた。
こんな美味しいものを、ここであっという間に終わらせてしまっていいのか?
いやいや、ここは一つ隠しておいて、後でまた齧ることにしよう。
オレは氷を一個、土に埋めた。
あれ? あれ? 無いぞ?
確かにここに埋めたはずなんだけど……。
え? 無いよ?
パパさんとママさんが揃ってオレを見て笑っている。
なんで?
ワン!
どんまい、オレ。
そして今日も日が暮れる。
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