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【エピソード①】僕の過去と未来
碧斗の職場に二人で向かうのはこれで何度目だろう。
ヒビキの運転もすっかり板についてるし、最近は打ち合わせの主導権もヒビキに任せてる。僕はそばで見守るだけ。
あんなに少年みたいな可愛い顔してたヒビキが最近じゃ妙に凛々しくて、逞しくて時々別人かと思う。
それはベットの上でも同じだ。
昨日の熱い夜の事を思い出し、隣で今、運転する筋張った腕の隆起した筋肉に惚れ惚れしながらあの腕に抱かれた今朝の余韻に浸る。
「なに?」
横目でチラチラ見ていたからそれに気づいたヒビキが僕にそう聞いてきた。
「別に?今日の打ち合わせ、うまく行くといいな。」
ヒビキの事は信頼はしているけれどそれでも少しだけ心配なのは親心みたいなもんだ。
「先に言っておくけど、香田さんは口出さないでね?今回は俺が1人でなんとかしたいんだ。自分の力で。」
わかってる。ヒビキは自分の力でやり遂げようとしている。だから、そばで見守ると決めた。
「わかってるよ。ヒビキならきっと大丈夫。」
「俺、楽しいんだ。今回のプロジェクト。」
「それはいいね。」
「今日もガンガン攻めるつもりだから。」
「そっか。まあ、お手並み拝見だね。」
最近のヒビキは逞しくて、頼りになるからついベットの上でも甘えたくなる。
昨日の夜も僕にあんなに攻めてくるなんて予想外だった。少し勝手で強引なヒビキのそういうところも実はキュンキュンしてしまう。
僕が抱いてやるつもりが最近じゃ僕の方がヒビキに抱かれてる。
しつこい子犬みたいに僕をなかなか離してくれないし、やっぱり僕は今日もそんなヒビキに振り回されっぱなした。
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