パートナー

1/3
62人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ

パートナー

 いつものように週末、土曜日の夜になるとパートナーの彌生はやって来る。もう、何年になるだろう…。  僕のマンションに合鍵を使って入ってきて、冷蔵庫をあけ飲み物を取り出して口をつける。だから彌生の好きなジャスミンティは彌生のために常備している。  そろそろ寒くなってきたら彌生用のスリッパは冬仕様に替えたところだ。    それと一緒に歯ブラシも新しいのに替えた。新しい下着類も買い足しておいた。  彌生は玄関の扉を開けて入ってくると廊下の入り口に出しておいたその真新しいスリッパに足を通しまっすぐ冷蔵庫に向かった。  まるで自分の家のように。  タブレットを抱えてリビングで仕事をしている僕を横目で確認すると、さっさと先にバスルームにむかった。 「今度入った子はどんな感じなの?」  彌生は、事が済むと丁寧に僕の身体を清め、散らかったごみをきちんとゴミ箱に捨てた。彌生はいつも丁寧で周りを汚さない。たった今使ったものを手際よく片付けたあとまた隣に横になり、僕の髪の毛を指で掬いながらそんなことをきいてきた。 「んー、顔だけはめっちゃタイプ♪ だけど性格は少々問題有りかも」  すると真剣な顔を近づけてきて優しくキスをする。こうやって僕をいつもドキドキさせるのは彌生の得意分野だ。彌生のキスは誰よりも気持ちいい。大きなゴツゴツした手の細くて綺麗な指先が僕の目蓋をそっと撫でる。 「へー。いつもみたいに声かけた?」  親指のはらで僕の下唇を撫で、弄ぶように何度も閉じた僕の唇を少しだけ開かせる。 「んー、聞いたらいきなりわけのわからない文句言ってきた♪」  そのまだ物欲しそうにしてる彌生の手首を掴みその指をつまんで僕の口に含み、軽く歯を立てた。弱い力で吸い付いてやるとそのじっと見ていた瞳が蕩けた。  彌生は他の奴らの話をする時、嫉妬してくる代わりにこうして自分の存在を主張をしてくる。  今は目の前の自分だけを見てと、その瞳が僕に愛おしそうに語りかけてくる。 「なにそれ…」 「とにかく変なやつだよ。ああいうのはめんどくさい♪」  そう言うと真剣な顔が綻び、少しほっとしたような顔を僕に見せた。隣で肘をついて横向きになってる彌生の肩を掴み仰向けにし、覆い被さってこっちから啄むようなキスを何度も落としてやった。  そうしてもらうのをさっきから待っていると感じたから。彌生の胸筋は綺麗な流線を描いてとても綺麗だ。窪んだ溝に指を這わせるとピクっと動く…。ボコボコした腹筋を手のひらで撫で回し、臍から下腹部への引き締まった固い部分を撫で下ろすと彌生は僕の骨に響くような低音ボイスの大きな深い溜め息を漏らした。耳から入ってくるその息も低くて甘い声も僕を震わせる。振動が骨を伝い僕の芯を痺れさせる…。    
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!