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「昨日も彌生さんと?」
ヒビキがそんな僕を見て、あきれた顔をしてるけど、なんだか少しその目が寂しそうな気がしたのは多分僕の思い過ごしだろう。
「まあね…」
「随分とお盛んなようで。」
うわ、そう言う意味で言ったのかよ。
寝不足とか、疲れてるとか…。
確かに昨日もいつも通り、彌生とすることはしたよ。したけど。
その最中も集中できないくらいにこの僕に一晩中、散々心配させた奴がよく言う…。
「そっちこそどうなんだよ、桜井さんとは進展あったの?」
「さあね…。」
なんか変な顔でヒビキが話をはぐらかした。
その、さあねって、なんだよ。
ますます気になってしかたがない…。
昨日はその事で眠れなかったのに、これじゃ今日も気になって眠れなくなるじゃないか…。
なんて、そんなはずないか。僕には関係ないことなんだし。
そんな話をしたせいかまた気がつくと無意識に桜井さんの方を見ていた。
二人はなんか進展あったんだろうか…。なんて考えていたらまた桜井さんと目があった。
ヤバい、変に思われる。もう見ないようにしよう。
そのうちお互いに電話がかかってきたりして対応に追われた。
昨日のそのことが気になって寝不足な夜を過ごしたせいで、頭がどうもスッキリしないのに、朝からそうして変な神経を使ったせいでやたらと疲れた。
休憩がてら今日も一人で自販機コーナーに向かった。二日酔いでも普段こんなにならないのにどうしたわけだ。
頭がボーっとして集中力に欠ける。朝から普段しないようなミスを何度かおかした。日付を間違えたり、確認した筈が他のところを見直していたり。なんかやっぱり今日はおかしい。
コーヒーを飲んで一旦、一息つくことにした。
すると最悪のタイミングで今一番顔をみたくなかった桜井さんが僕のあとからそこにやって来た。
なんだよ、お前のせいで昨日は寝不足でこうなったって言うのに…。その顔をみただけでますますどっと疲れが出る気がした。
うちの可愛いヒビキにちょっかい出そうなんてことしてくれるから…。
桜井さんがあんな尻軽なやつだなんて知らなかったから…。なんてな。自分のことは棚にあげて人のことよく言うよ。僕も。
だけどヒビキは僕とは違って堅物で真面目で融通の利かない奴だ。僕とは訳が違う。それにヒビキは僕みたいに穢れてない。
きっとあの見た目通り、少年のように純粋でピュアな奴だ。そうに決まってる。
なのに食事くらい行ってやれよなんて僕があいつに言ったばっかりに。
なんて。お節介なまでに余計なことをこんな風に思ってる自分のことがよく分からない。ただの上司の癖に。
けれどこの目の前のこいつを気にくわないのだけは確かだ。
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