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13years old
目を開けると、先ほどの静かな林の中とは打って変わって、人が多い場所に出てきた。
一体ここはどこだろう。
近くに海があるのか、潮風の匂いがした。
石畳の道をたくさんの人が行き来している場所で、かごいっぱいに魚を抱えた人や高級そうな衣服に身を包んだ男性、お母さんに手を引かれる幼い子どもなど。
自由に身動きがとれない状態で、とりあえず流れに身を任せて、海の近くへと坂道を下ってきた。
港が近づくにつれて潮の匂いはさらに濃くなった。
行き来する人も変わってきた。
少し人が少なくなったところで、建物のそばに寄りあたりを見渡した。
ここがヘリアンサス領内なのかどうかわからないが、前回は城や街、山が近かったけれど今回は全く離れた土地のようだ。
ここに飛ばされたということは、どこかにメロスリア王子がいるはずだが、この人混みの中探すのは骨が折れるな。
そもそもあれから何年の時が経っているのかわからない。
衣服などは大きく変わってなさそうなので、そんなに何十年も経っているわけではないだろう。
ただここは港町で多くの外国人が入り混じり、たくさんの人種で溢れており、様々な言語が飛び交っている。
港には異国の大きな船が何隻も泊まっているのが見える。
大通りには何台もの馬車が行き交っており、豪勢に着飾った紳士淑女が乗っていた。
ずっと立ち止まっていても仕方がないので、市場の方へと歩いてみることにした。
市場には採れたての魚がずらりと並び、それを買い付けようと人々が押し寄せてきていた。
並ぶ魚はコンバラリヤとは全く違い、珍しいものもたくさん並んでいた。
一部では競りも行われており、市場全体が活気に溢れていた。
しばらく歩き回りながら市場を眺めていると、端のほうで漁師と思われる人と、正装に身を包んだ数名の人影があった。
近づいてみてみると、漁師と話しているのは、私もお顔を知っている。
ヘリアンサスの王だった。
40代半ばといったところだろうか。
そう考えると、王子は現在15歳かもう少し若いくらいだろうか。
自ら買い付けに来るとはあまり考えにくいため、視察か。
ということは、メロスリア王子もそれにくっついてきているのかもしれない。
前回5歳だったため、かなり大きく成長されているはずなので、会ってわかるか正直自信はない。
とりあえずあたりを見回してみるが、そう簡単に見つかるはずもなく。
今は別行動をしているのかもしれない。
しかしどこに行っているか全く検討がつかない。
この人混みで探すより、合流するタイミングまで王を見張っている方がいいかもしれない。
魚を見るふりをしながら、横目で王を見て数十分。
王とその側近たちは、漁師に別れを告げ、市場を離れた。
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