13years old

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数分歩くと、レンガ作りの建物のレストランが見えた。 あまり字は読めないが、どうやらコース料理のお店のようだ。 入口から入ると、ウエイターがやってきてじいやが説明すると、個室に案内された。 じいやが扉を開けると、王と王子が席についてお食事をとっているところだった。 「お待たせいたしました」 「じいや、遅い」 「申し訳ありません」 じいやは王の側近に声をかけると、部屋を出ていった。 交代でどこかでご飯を食べてくるのだろうか? 「それで」 王が私をまっすぐ見つめた。 「このお嬢さんは、どなたかな?」 「私の祖母の方の遠い親戚でございます。 先ほどたまたま街で見かけまして」 「ヒビスと申します。 お食事中にお邪魔して申し訳ありません」 「構わん構わん! そうか、じいやはコンバラリヤの血が混じっているんだったな。 美しいお嬢さんだ。 じいやも、隣座って一緒にお茶でも飲もうじゃないか」 そう言って隣の椅子を示す。 「王様…」 じいやが困った顔をすると、「いいじゃないか、昔よく一緒に悪さした中じゃないか」と豪快に笑う。 「全て怒られたのは私なんですけどね」 「すまんすまん」 そう言って笑いながら、王は椅子を引いてくれる。 「す、すみません」 「レディーファーストだから」 そう言ってパチリとウインクする。 たしかに、端々の仕草がじいやと重なる。 王子と同じブロンドの髪を持ち、オリーブ色の瞳をしているが、やや切れ長で、口元には立派なヒゲを蓄えている。 少しふっくらとした体系で、威厳が滲み出ているようだった。 「ほら、メロスリア。挨拶しなさい」 腰掛けた時、王子とようやく目線があった。 王子は私を見てひどく驚いた表情を見せたあと、すぐに目線をそらした。 「…メロスリアです」 「メロスリア。 相手の目を見て話すって言ってるだろう。 まさか、ヒビス嬢の美しさに惚れたか」 そっぽを向いたメロスリアの耳が赤く染まっている。 「お、まさかの図星か! いや、一丁前に男になったなぁ」 「とうさん、うるさい」 横目で王を睨みつけるが、全く恐くない。 「あーこわいこわい」 そういう王も口元はニヤニヤしている。 「デザートお持ちしました」 ウエイターが皿に乗ったケーキと紅茶を持ってきた。 クリームで彩られたケーキには木苺がのせられており、花がさしてあった。 カップを並べて、紅茶を注ぐと少し癖のある紅茶の香りがした。 紅茶にも小さな花弁がいくつか浮かんでいた。 その時、私のイヤリングが大きく揺れた。 「おお!ケーキ美味しそうだな」 「父さん、甘いものすぐ食べすぎるんだから。 ほどほどにしなよ」 今いるのは王、王子、じいや、私、ウエイター。 ウエイターはケーキを運びに来ただけのようで、怪しい動きはない。 「では、失礼いたします」 そう言ってウエイターが部屋を出た。
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