5years old

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若草色のワンピースに着替えて、馬車を降りた。 メロスリア王子は駆け寄ってきて、「きれいだね!」と大人顔負けの褒め言葉を、かわいい顔で放ってきた。 あまりの可愛さに一瞬言葉がでなくなったが、なんとか「ありがとう」とだけ伝えた。 そのまま王子は手を握ってきて、再び歩き出した。 街中を歩いていると、通りかかる人々はメロスリア王子に笑顔で手を振っている。 それに対してメロスリア王子も笑顔で返している。 可愛らしい外見に加えて愛嬌もあり、国民に愛されているのが伝わってきた。 それを見ながら歩いていると、一人の30代くらいの女性が駆け寄ってきた。 「王子、これをお持ち帰りくださいませ! 今日一採れた鶏の卵です!」 女性の手にはかごが抱えられており、その中には5つの卵が転がっていた。 「おお!大きな卵だね!」 「はい!」 王子は卵を見て目を輝かせて、それを見た女性は笑顔を綻ばせている。 「ありがとう。 お姉さん、お名前は?」 「ユリスと申します」 「ユリス、この卵を産んだ鶏に会わせてくれ」 「は、はい。かしこまりました」 急なお願いに疑問を持ちながらも、鶏小屋へと案内するユリス。 「こちらにございます」 「おお!元気な鶏たちだ」 檻の中には、真っ白な鶏が数羽走り回っていた。 王子は柵に近寄り、しゃがみ込んだ。 「王子!指を入れてはなりませぬぞ!」 じいやが慌てて後を追う。 「そんなことはせぬ」 メロスリア王子はじっと鶏の方を見つめた。 先ほどまで走り回っていた鶏たちも、眼の前に現れた王子の方を立ち止まって見つめている。 「にわとりたち、産んでくれた卵もらっていくよ。 ありがとう」 そう言って王子は手を合わせた。 その姿は成長した王子の姿をぴったり重なった。 メロスリア王子はあくまで『王子』。 小さい頃から、国を背負っていて、王子として生きている。 見た目は子どもでも、中身は大人にならなければいけなかった。 小さい頃から王子としての教育はもちろん、王様が一番に言っていたのが「人に優しくありなさい」。 国でのスローガンのようになっているその言葉を大事にして、王子を始め、全ての国民は生きている。 目の前の鶏に感謝を示す王子を見ていると、ぎゅっと心が締め付けられた。 私は絶対、メロスリア王子を守る、その使命を改めて強く心に刻んだ。 「メロスリア王子は、この国になくてはならない存在なんです」 いつの間にか横に立っていたユリスが、私に向かって話しかけてきた。 「王様も大変心やさしい方で、王子もその御心を継いで成長されています。 私はこの国が大好きで、この国に産まれたことを誇りに思います」 彼女の目は優しく王子を見守っていた。
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