2章 愛人契約

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2章 愛人契約

智則は背が高く、顔立ちもはっきりした男前な感じだった。 連れてってくれたオシャレなイタリアンで、ちょっと緊張してしまう私に、ニコっとしてリラックスさせてくれるところは、女性の扱いに慣れているんだなって思った。 「あの、智則さんは結婚とかしているんですか?」 パスタを食べていた手が一瞬止まる智則。 「結婚しているよ。もう…13年?くらいかな。子供はいないけど。あ、既婚者はダメだったかな?」 パパ活に登録している男性の多くはワケありっぽそうなのは、なんとなく分かっていたんです。 顔を曇らせてしまった智則さんですが、私は「そんなことありませんよ」と伝え、話を続けました。 「でも、サイト使って女の子に会っていたら、奥さんにバレませんか?」 レモネードを飲みながら、さらっと聞いてしまう。 「嫁とはもう関係性は冷めててさ…。俺はもう離婚したいんだよね…。だけど、嫁は俺と結婚してから専業主婦で生活力がないし、今の生活で居心地がいいからいるんだと思う」 初対面の女の子に本心を普通に話す智則さん…。 よほど溜まっているのだろうか。 私が言葉に悩んでいると、智則さんは我に返って、 「ごめんね!!初対面で沙絵ちゃんみたいな若い女の子に、こんな話しちゃいけないね!ピザとかパスタも冷めちゃう前に食べちゃお」 重くなった空気を明るい方向へ戻そうと必死な智則さん。 なので、私の方にも彼氏がいることを暴露返ししちゃいました。 「私にも同い年の彼氏がいるんですよ。交際はじめて1年くらい経つんですけど…なんか飽きちゃって…」 「あら~、飽きちゃったの?なんで?」 私はぷぅーっとほっぺを一瞬膨らませてから話を続けました。 「割り勘なのはいいんですけど…なんか子供っぽくって…落ち着きもないし、付き合ってて疲れちゃったんですよね」 「そっか~。無理して付き合わなくてもいいんじゃない?沙絵ちゃんはまだ若いんだし、いくらでも彼氏ができるよ」 「そう…ですよね!ありがとうございます♪」 プライベートなことを話したり聞いたりするのは、このまま継続して関係を続けていくのなら、ある程度お互いのことも知っておきたいと思ったんです。 それとあわせて、“お手当て”のことも話さないといけないから。 あと注文したパスタやピザを食べている間は、お互いの趣味のこととか休日何しているとか話して、このままカフェに移ることになった。
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