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二人でたわいもない話をして、ふふっと笑う。私の緊張が伝わりませんように。
「オレ、二つ上に姉ちゃんいたんだ」
横顔だったのに少し角度がついて、東雲くんの表情がぼんやりと見えた。月がないから、道路沿いの遠い街灯だけが頼りだ。目もだんだん暗がりに慣れてきた。
「あ、ごめんね。真奈に聞いた。お姉さんのこと」
スポーツ推薦で決まっていた高校入学前に、交通事故で亡くなったって聞いた。
「そっか」
東雲くんは一回深く息をついた。
「姉ちゃんのこともあるからさ、やりたいことできないのって悔しいなって。つい熱くなってきついこと言った。ごめん」
その憂いげな表情に、胸が苦しくなる。ダメだ、勘違いしそうになるよ。
「昨日、東雲くんに言われて、ずっとモヤモヤしてた。そしてお母さんと言い合いになった。言いたいことは言ったけど、喧嘩になっちゃって……」
「うん」
「分かってもらえたかどうかは分からない。でも、ずっと言えなかったからちょっとスッキリした」
「うん」
私が吐き出す言葉を、一つ一つ受け止めてくれる。優しすぎる。止められなくなるよ。
「お母さんが言いたいことも分からなくもないんだ。でも、私は今やりたいことをやりたい」
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