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薄暗い。私たちしかいない世界で、波音だけが響いている。
「オレ、ずっと西條さんのこと見てた」
ん?
「頑張ってるの知ってたから、後悔してほしくなくて」
え、何。待って、すごくドキドキする。
「西條さんのこと、好きなんだ」
「ちょっと待った! 一旦落ち着こうか」
東雲くんと安富先輩は付き合ってて、私に告白? つまり、二股? いやいや、東雲くんそんな子じゃないでしょ? でも私が知らない違う顔を持ってるのかもしれないじゃん? そんなふうには思いたくないけど!
「ごめん、迷惑だった?」
頭を抱える私に、東雲くんも戸惑っているようだった。ちゃんとはっきりさせよう、私は深呼吸をした。
「安富先輩と付き合ってるんじゃないの?」
「え、付き合ってないけど……なんでそんな話に?」
「この前、ここで二人で会う約束してたんじゃないの?」
「あぁ、あれはたまたま安富先輩が通りかかって、オレに声かけただけなんだけど……」
「え、じゃあなんで東雲くんはこんなところにいたの? てっきり待ち合わせしてたんだとばっかり……」
怒涛の質問攻めに、東雲くんも若干引いてる気がする。
「それは、その、なんというか……」
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