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EP1 出会い
人生で初めてのDom sub専用のクラブに行った。マスターのお眼鏡にかなわなければ入店できない、安心できる店だ。そこではplayの相手を探しに第二性を持つ人が集まっている。
俺はsubで、play自体初めてだったから、バースペースのカウンターの端に座っているDomの雰囲気が弱い優しそうな男性に話しかけた。
「すいません。俺とplayしてくれませんか?」
男性は俺を見定めるように全身を見ると、
「ああ、いいよ。」と答えた。
それから俺たちはクラブの奥にあるplay用ルームに入った。そこにはソフトSMに使うような
バラ鞭や色々な器具、椅子、ベッドが置かれていた。
「じゃあ始めるよ。いいね。」俺はこくっと頷く。
「NGは?」
「特にないですけど、ハードなやつは無しで。」
「なんで呼べばいい?」
「じゃあ....リンでお願いします。」
なんとなく本名を言いたくなかったので自分の名前 小柳凛世(こやなぎりんせ)の凛の字をとった。
「OK 。リン、 kneel」
ペタンとお尻を床につけて前屈みに座るが、glareを感じた瞬間にこの人とは合わない、と頭の中で思った。
そう思ったところで今更断るのは失礼だし、時間が解決してくれると思いそのままplayを続けた。
playは命令に従えなかったらお仕置きをされたり、相手の手でイかせられたりして、順調に進んでいった。subがDomより先に気持ち良くなってはいけないと、射精管理もされた。
許可される前にイってしまうと相手の指が喉の奥まで入ってきて吐きそうになるまで出し入れされる。正直、とても嫌だった。そんなplayの途中から違和感を感じた。相手のglareがだんだん強くなっているのだ。気付き始めたとき相手は尿道プラグを取り出して、
「これ、リンの穴に挿れていい?」
俺は怖くて足を閉じて性器を隠し、首を横に振った。そしたらいきなりこれまでにないほど強いglareを出してきた。そして、
「present」
晒せ、と命令してきた。強いglareに恐怖を感じ、俺の体は硬直していた。すると、腹が立ったのか自分のズボンからベルトを引き抜き、二つに折って手に持った。
「次、言うことを聞かなかったらお仕置きとしてこれで叩く。」
「ゆっゆうことっ聞き、ますからっ!叩かないでっ!おねがいしますっ」
目の前が恐怖一色になった。
「じゃあ、できるよね。present 自分で扱いてイってみせなさい。」
先刻一度達しているので腰がだるかったが足を開きゆるゆると触る。
「もっとだよ。それじゃイけないだろう?」
ベルトでうち太腿をなぞられながら言われるので怖くて仕方がない。震える手で強く触る。
「仕方ないな、俺がイかせてやるよ。crawl」
四つん這いになると、相手の手で扱かれる。達しそうになり腰を動かしたら、
「stay 動いたら、、、わかるよね。」
俺は必死に頷く。そして、また達しそうになると我慢できずわずかに腰を動かしてしまった。
バシン!!
「あ“ぁっっ!!」
俺の腰に容赦なくベルトが打ち付けられた。
「ごめん、なさいっ!ごめんなさいっ!!!」
「反省しているようだから3回で許してあげる。あと2回だよ」
バシン!!「い"っ!!」バシン!!「やっ!ぁっっ!」
「はい、おしまいだよ。よくがんばったね。」
褒められたことは嬉しかった。でも、相手のglareは俺にとって恐怖でしかない。雑に俺の頭を撫でると上着を取り、俺はもう出るね、と言って部屋から出て行った。
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服を着ていつの間にかカウンターの前にいた。そのとき、
「ちょっと君!?大丈夫か」
この店のマスターだった。
「は、い?何がですか?」
「顔色悪いぞ」
「まあ、ちょっと...。」
何かを察したのだろうか、俺をカウンターの奥にある個室に連れて行った。
「???」
「君、あの人とplayしただろう。」
「あの人?」
「さっき出て行った人」
「あ、はい、、」
「あの人は前からsubのお客さんから苦情が増えていてね。だから初めて店に来た君とplayしたんだと思う」
「なるほど、、、」
「play中に君の意思を無視してplayを強行したんじゃないか?だとしたら謝る。それはちゃんと見ておかなかったこちら側のミスだ。本当にすまなかった。今度から出禁にする」
と、頭を下げられる。
「いえ、大丈夫ですよ?顔を上げてください。俺が経験不足でした。」
「、、ーーー君safe wordやafter careは知ってるか?」
突然の話に驚く。
「い、いえ」
「じゃあ受けたことないってことか、、、よし、俺が今から言うことをちゃんと覚えておくんだぞ。」
「はいっ」
19歳までダイナミクスとは無縁だった俺からすればそれはありがたいことだった。
16歳の時の検査では自分はnormalだった。大学に入学してしばらく経った頃に体の不調が続き医療機関に受診した。その時に自分がsubだと言うことを知った。抑制剤が処方され最近までそれを飲んでいたが、それでも体に不調が出るようになったから、21歳になった今、初めて、第二性持ちの友達に教えてもらったこのクラブに来たということだ。
safe wordはDomのいきすぎたplayを防ぐもの、after careはsub dropさせないようにsubを褒めたり、優しく労ったりするもの、と教えてもらった。
これらをしないのはDomとしてなってないらしい。また、claimというパートナー契約もあることを知った。ちなみにマスターはDomでパートナーのsubがいるという。強面だがイケメンで笑うと優しい顔になる。
「あぁ、そういえば自己紹介がまだだったな。俺はこのクラブのマスターの
冨橋陽優(とみはしひゆう)、Domだ。」
「俺は、小柳凛世です。大学生、21歳です。」
「じゃあ凛世くん、after careしてもいい?」
「え、いや、そんな、申し訳ないです」
「パートナーがいるからplayはしない、安心しろ」
「ほんとにいいんですか??」
「もちろん。怖かったら言えよ。じゃあ凛世ここおいで。」
「はい...//」
自分の座っている大きいソファーをとんとん、と優しく叩く。俺は、吸い寄せられるようにそこへ座った。透き通った暖かい波のような甘いglareを感じる。そして、冨橋さんは俺の頭を優しく撫でながら、
「凛世は偉いなぁ。怖い経験をしたのにちゃんと俺を信じられて。よく頑張ったぞ。偉い偉い
よくできました。凛世、ほんとにいい子だね。」
それからしばらくぼーっとしていたら頭の霧が晴れていくような気がした。
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「ありがとうございました!」
「うん、凛世くんはかわいいし、いい子だから、いいDom見つかると思う。また困ったことがあったらいつでも相談しろよ。」
「はい!また来ます」
「あ、連絡先交換するか?」
「いいんですか?是非!」
俺は連絡先を交換し終えるとマスターに手を振って帰路に着いた。
クラブには家から電車を使って来ていた。だが、スマホに表示されている時間を見て驚いた。もう終電から15分ほど過ぎていた。
(after careでそんな時間使ってたのか、、お金あるしビジネスホテルにでも泊まるか)
財布の中の残金を確認しながら歩いていると、2人組のDomらしき男たちに絡まれた。
「おにーさん、今暇でしょ?」
「えぇっと、、、」
「ちょっとお話ししに俺たちとどっか行かね?」
「俺、もう、帰るので、、、って、ちょっとっ離して!!」
片方の男に手首を掴まれ前へ引かれた。
「止まってく、ださい!離してっ」
「shush」
「っ、、、」
glareを当てられる。
「come」
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