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*side荻宮*
「おーい、荻宮!〇〇町へ見回り行ってくれるか?今日はそのまま上がっていい。」
「あぁ、分かった。じゃあ俺はこれで上がる。 おつかれ」
同僚に言われ先に上がらせてもらうことにした。
「あ、先輩帰るんですか?お疲れ様です。」
「見回り行ってからな。お前はまだなのか?」
今話しかけて来たのは、ダイナミクス特殊犯罪対策課の同じ班に所属している井伊吉己(いいよしき)だ。Switchで俺の5つほど下だが、頼りになる男だ。
「これ片付けたら終わりです。」
「そうか、じゃ、おつかれ」
「また明日!」
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夜の静寂は心地が良い。だが、そこにわずかな抵抗の声が聞こえた。
《〜〜、、離してっ、、》
はっきりと、聞こえた。俺はその声に向かって走り出していた。
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俺が声の元に着いた時、subの青年がDomの男2人に連れられ歩いていた。特に抵抗している様子もなくさっきの声は気のせいだったかと気が抜けるが、俺の気配に気付いたのかsubの青年がこっちを振り返り、
(助けて!!)
そう言っているように思った。
俺はその中に割って入り、Domを威嚇する重低音のようなglareを放った。subが近くにいる時無断でglareを出すなど非常識だが、今の状況では仕方ないだろう、と自分の中で言い訳をした。Domの男2人はこちらを見るなりsubの青年の手を離してスタスタと早歩きで行ってしまった。このままこの青年が連れて行かれたらどうなっていただろう。考えただけでも嫌気が差す。しかも2対1で。
それから、glareの影響か、膝から崩れ落ちた青年を腕で支えながら、ぼーっとしている青年の顔を改めて見た。俺は吸い込まれるようなスプルースの瞳から目が離せなくなった。静かな瞳の奥には甘いsubの本能が見え隠れしている。
しばらく見つめていると何回か瞬きしたあと意識がはっきりしてきたのか状況が飲み込めず目をキョロキョロさせている。
「あの、、えっと、、、」
(どういう状況!?えっと、連れて行かれそうになって、ああ!助けてくれたのか!お礼言わなきゃ、、つーかイケメン、、、Domかな、Domだよね。強そう、、何か命令してくれないかな、って俺は何考えてる!?)
目の前にあるDomを感じさせる凛々しい顔と、怯えの前に支配されたいという願望が来ることに戸惑いながら、凛世がぐるぐると考えていると荻宮が口を開いた。
「怪我はしていないか」
「は、はい、、」
「さっきはいきなりglareを出してしまい、すまなかった。」
「いえ!それよりも助けていただいてありがとうございました。」
荻宮の腕から離れて礼をする。そして、顔を上げた時、そのガタイの良い圧のある体と強いDomの雰囲気に荻宮の顔をまじまじと見てしまう。
「どうかしたか?」
「へ?、、、ぁ、、あ、すみませんっ」
恥ずかし過ぎて自分でも顔が赤くなって行くのが分かる。
「ところで、未成年か?」
「、え、、?」
「ぁあ、そういえば、、警察本部庁ダイナミクス特殊犯罪対策課捜査官 荻宮(おぎみや)だ。」
(警察手帳初めて見た、、)
「で、何歳なんだ」
「あ、えっと、未成年ではなくて、21歳です。」
「そうか、、失礼だが未成年に見えてしまって。最近この辺でトラブルが多発しているから見回りに来ていたんだ。もう終電も無くなってこんな時間だし、気をつけた方が、、って聞いているか?」
「…俺とplayしてくれませんか?」
「……ん?」
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