萬獣

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仏像をあっちこちいじくり回してみます。 どっちが顔かもよく分からないのです。 多分これが顔かという、その反対側を見ます。 文字と言うより形のような、でもやっぱり文字が書かれます。 鏡文字ならまだいいのですが、殆どは絵です。 「ヨロズノケモノ」 と何とか読むことができなくありません。 ─ヨロズノケモノ ─ とはどんな獣のことですか? 「わかりる? 」 さっきの女の人が何故か急に背後にいます。 「(よろず)()(もん)ち書いちゅうがよ」 とだけ言ってまたどっかに消えます。 ─ 萬除(よろず、の)け者の会 ─ 自分が呼ばれた理由が(ようや)く少し理解できるのです。 さっきの仏像を大事に懐手に抱きます。 明日も張り切ってあそこに行って、頑張って勝とうと思うのです。 ついでに、この仏像も目鼻口を描けばあの大会に観客として参加できて、僕を応援するかもしれないです。 帰って早速、やってみようと思うのです。 【萬獣 ─ 完】
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