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「おじいちゃん!」
公園のベンチで真っ白な月を見上げていると、孫のショウゴが走り寄ってきた。
「夜中にこんなとこで何してんの? みんな心配してるよ?」
「ああ、ごめんなあ」
孫はため息をつき、私の隣に座るとスマホで誰かと話し始めた。
あの日、ある少年とここで待ち合わせをした。あの不思議な少年は今日は来るだろうか。遠い昔の約束はまだ有効だろうか。歳のせいか、少年の顔もぼんやりとしか思い出せないが、あの日のことは決して、決して忘れることはできない。それはまさに夢のような出来事だった。
半世紀以上も前、私が小学三年生のときのことだ。
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