良夜の候

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 彼は、十六年前の、今宵と同じく月が美しく見える頃に死んだ。  私と川へ夜釣りに出かけ、二人とも川に落ちた。私は助かり、彼は溺死した。  その後、毎年のように、この季節になると彼は私の前に現れるようになった。何をするでもなく一緒に月を見て、同じ言葉を告げて消えていく。それがずっと続いているのだった。
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