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1. "皆さんおはようございます。" "昨日、国語の授業で書いてもらった作文「お母さん」の結果発表を行います。" "いくつか候補を挙げましたが今回は矢田くんの作文「お母さん、ありがとう」に決定しました。 そして、クラスの代表として市のコンクールに選出します!" "え、矢田のが…?" "あいつ、勉強出来ないし頭悪いのになんでなんだ?” 小学4年の時、作文コンクールにクラス代表として選ばれた。 先生が作文の内容など読み上げたが小学4年児に評価など出来るわけが無く先生の独断と偏見で選ばれたのだと…? しかし、本当に嬉しかった僕の作文がクラス代表になった! "やったー" "早く帰ってお母さんに伝えよう!" そして家に帰り自分の作文がクラス代表として市のコンクールに選出されたと両親に話した… "凄いね!本当凄いね!と母親は誉めてくれた。" だが、翌日クラスの掲示板に貼られていた「お母さん」の作文は僕のでは無かった。 貼られていた作文はクラスの優等生で学級委員長の森山さんの作文であった。 "当たり前だよなぁ、矢田の作文が選ばれる訳が無いよな… あんな頭が悪いやつのが!" どう言うことか理解出来なかった? 昨日皆んなの前で先生話したよね? そんなんで両親に話したよ! "先生あの僕が書いた作文は?" "あ〜ごめん、ごめん手違い、手違い、発表後いろいろ考えたら森山さんの作文の方が良かったと…" どうなっているんだ? 先生は確かに皆んなの前で僕の作文が選ばれたと… しかし、それは間違えだった? 間違え、それはわかった… それならどうして間違えた事を皆んなの前で話してくれなかったのか? 何故、先生は何も話す事無く選出された森山さんの作文を掲示板に貼り付けただけだったのか? 僕には理解出来なかった。 こんなもんか?頭が悪い、勉強が出来ない事でクラスの皆んなが先生に"なんで矢田くんの作文なんですか?"の問いかけに説得するのが面倒であり、勉強が出来無い僕の事なんてどうでも良かったのだと? 僕の作文を選んだのも先生の気まぐれで、クラスの皆んなが反対すればその意見を尊重すれば良いと思っていたのだろう。 "ドックン…ドックン…ドックン…" 心臓の鼓動が早くなり… "キーン…キーン…キーン”と幻聴が… 耐えられず手で耳を覆った。 "なんだ、この苦しみは?" 突然、心臓の鼓動が早くなり息苦しいさと幻聴が起こりその場に座り込んだ。 "大丈夫か矢田…?" 先生が言葉を掛けてくれたが不快感から先生の手を振り払った。 そして、よろつきながら保健室に向かいベットに横になった。 「算数1、社会1、理科1、国語2、体育3、図作3…」 "また、同じ成績だ算数少し頑張ったけどまた1、だ…" "そうなんだよ、お前は頑張っても評価されない" 背後から声が… "ギョ!" 振り返ると鬼となった先生が佇んでいた。 "ハッ!"僕は覚醒した。 "どのぐらい寝てしまったのか?" "矢田くん、具合はどう?" 保健室の先生から尋ねられた。 "ハイ、大丈夫です" おかしな夢を見たが不思議にさっきまでの苦しみが治っていた。 "これって一体なんだろう?" 突然襲って来た苦しみに理解できなかった。 それから先生の言葉がトラウマになり、動悸と幻聴が心を支配し他人の言うことが信じられなくなっていた。 それはトラウマ的疑心暗鬼と被害妄想が身体に棲みついた事からだった? そして… "お前は評価される事は無い”と誰かが囁き続けるのであった。
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