case 2 後藤杏子

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「その上、うちの店で食べてから帰ってたって、キョーコちゃん持ってるよね。ミラクルだよ」 なんか、全てのことを褒められてどうしていいのかわからないけど… 「…いろいろとタイミングってあるんだと思う。あの流木を見つけただけで満足で、次の週からは来なかったかもしれないんだけど…続けて来たのは、春からの環境の変化でどこか疲れていたタイミングだったからかなって」 「新社会人だもんね。頑張って当たり前と思われて、その中で気を使って、でも不機嫌になれなくて…杏子ちゃん、頑張ってるからね」 「ぁ…うん…まあまあ頑張ってる…」 「俺、そのあたり頑張れなかった人だから自分で店してるんだよね」 レンさんが笑って言うので、どういうことかとさとちゃんを見る。 「そうだな…昨日の杏子ちゃんみたいに理不尽な感じで怒鳴られたら、レンはとことん正論を放つんだよね」 「そっか…でもこうやってお店がうまく出来てるっていう才能があるから、適性?」 「うん。会社にしがみつくことなく、自分でやろうってさっさと決めたところが勝ちだと思う。自分の人生の選択」 さとちゃんが言ってる途中にお客さんが来たから、レンさんと奥さんは立って行った。 「私…引かれないで…褒められちゃった」 「褒めるよね、そりゃ。オレは感謝もするし…ほんとに会えて良かった」
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