case 3 嶋田ナミ

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「コイツ、なんでナミの推しを知ってる?」 「そんな怖い顔しなくても、私は言ってないよ。出してるもので分かるんじゃないかな。この人は推し被りがヤじゃない人なんだね」 「お前な…ここで危機感を持てよ。メルカロンは推し活の人脈を広げる場じゃないだろ?」 「理解理解ハイハイ、その通りです。ここでは返事しないって」 「絶対な」 「絶対」 「この取引画面、またチェックすんぞ」 「信用ないなぁ…ナミチャンいい子」 「自分で棒読みな…はぁ…前科があるからだろ」 「あれはメルカロンじゃないし…」 オンラインコミュニティだったもん。 私は去年、ちょっと失敗したことがある。 その時は推し活のコミュニティに参加していて、何度目かにみんなでイベント集合が決まった。隣県でのイベントに全国から来るっていう熱量に押されて、当たり前のように私も参加したんだけど… 「素性がわからないってのは同じだろ。取引に不必要なことを話すヤツは信用出来ない」 大貴のいう通り。実際にイベントに来た人は、コミュニティに顔加工アプリを使っていた人とか多かったようで、キモい人が何人もいて…自作の二次創作品を売りつけてくる人もいて…なんか違うって思ったから、本名や直接連絡先がバレる前に逃げ帰ったんだ。 「うん…そうだね」
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