case 3 嶋田ナミ

11/22
前へ
/70ページ
次へ
ちょっと大袈裟だけど、メルカロンを始めてからパパとママともよく話をするようになった。前からよく喋ったけど、ひとつ話題が増えた。お互いに “これもういらないんじゃない?” “これ売ってみる?” みたいに相談する時があるから。そして…大貴ともよく話せるのが復活した。 「ここで終わらせてしまえ」 うちの家の前で、私の荷物を持った大貴が言うから “ありがとうございました” とだけ書いて取引を終了させる。 「ぇえっ、今みんな一緒かぁ?」 「あ、パパ…」 通勤の路線が違うパパが駅から自転車で帰って来ると 「大ちゃんと照ちゃん、よかったら入ってよ。遅いけど。ナミも今からご飯だろ?」 とパパの誘いで、なんだかみんなで食事になる。 「っていうか……照ちゃん、カバン持ちジャンケンに勝った感じ?手ぶらだね~小学生の時もやってたよね。今じゃイジメになるとかって議論になるけど」 「ナミちゃん、その頃からジャンケンよわよわだし」 むむっ…玄関でリュックを下ろしていると 「わぉ、4人が今からお食事タイム?よしよし、大貴と照貴、よく来たねぇ」 とパジャマのママがダイニングから顔を出して、ワクワクと消えた。 「急でもドンマイっていうのがいいよな、ナミママ」 「うん。冷食も並ぶけど、いつでもウェルカムなんだよ」
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1162人が本棚に入れています
本棚に追加