case 3 嶋田ナミ

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本日の夕食だった“野菜と鶏団子のスープ煮”はたっぷりあったので、温めて鍋ごとテーブルへ。 「ウインナー足して温めたよ、どうぞ〜パパ、飲むならセルフね」 と言うママは、缶ビールをプシュっと開けてゴクゴク飲むと 「大貴もアルコールはセルフね。ちびっ子二人はお茶」 と冷凍ギョーザを焼いてるキッチンへ戻る。そしてフライパンを見てから、レタスを豪快にちぎっているようだ。 「ナミちゃんもお茶?」 「うん。あんまり飲みたいと思わないから」 ちょっぴり控えめに食器棚を開けてグラスを出すテルくん。冷蔵庫からおかずになりそうな物を出しては大貴に手渡すパパ。それをテーブルに運ぶ大貴。私はスープ煮を入れる。 「食べながら適当に足そうよ。冷めるしお腹減ったし」 「そうだね」 と、パパはサバ缶を持ち、大貴がビールを持っている。 こうして急に皆で始まった食事…大貴がビールを飲むのを初めて見た…なんか大人だね。 「最近、大貴の名前はよく聞いてたけど会えてなかったから来てくれて嬉しいよ。私は照貴がバイトしてる時に会うことはたまーにあるけどね」 「おばちゃんは朝にメルカロン出荷するからだよね。ナミちゃんは夜」 「通学前には持ち込めないかなぁ…こうしてバイト後にご飯食べてから、梱包して持って行くと遅い時間になるんだよね」 開店時のバイトをしてるテルくんとは会わない。 「今日、大貴バイトなし?」 「なし。今から何か発送ある?持って行くなら一緒に行く」 「……あ…ないよ、大丈夫。ありがとう」 なんか最近の大貴は口煩く優しい。それが嫌じゃなくて…大貴のことが気になってしょうがないな。
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