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満腹感を得た頃に…ピンポーン…
「…こんな時間に?」
「ああ、母上社長か父上店長じゃないかな?兄ちゃんとここで食べるって、連絡入れたから」
「照貴、見てきて」
「ほいほい」
「嶋田家、誰も動かないって…通常運転ウケる」
ウケると言いつつも微笑み程度の笑い方の大貴と目が合う。
「ぁ…何なら見てよ、パパはお箸持ったままでママはビール持ったままだよ」
「ナミは手が空いてるけど動か…」
「大貴、しーっ、言っちゃダメ。私はいいの。あ、おばちゃんもおじちゃんも勢揃いでこんばんは~いらっしゃいませ」
「ナミちゃん、ここでいらっしゃいませ、言ってないでうちに仕事はあるよ、こんばんは」
こんばんはまでが長いおばちゃんに席を譲って、自分のお皿をシンクに運ぶ。
「ナミちゃん、玄関に置きっぱのスマホが光ってたから、ここ置くよ」
「ありがと、テルくん」
「ナミ。そこにある物だけは洗ってからスマホ」
「ハイハイ…ママ」
器用で何でも上手なママは、人を使うのも上手だ。すぐに大貴が食器を重ねて持って来てくれたので
「食洗機回そ…全部は入らないから洗うけど」
「俺、洗うわ。食洗機、やって」
場所を交代して片付ける。小さな食洗機だから慣れてないと少ししか入らない。
「テルの学祭、土日とも行くか?」
「土曜の夕方はバイト入らなきゃ…かもだけど、どっちも行きたいと思ってる」
「ナミの好きな空間だよな」
「うん、イベントも学祭も好きだね」
「俺も夜バイトだと思うけど行くわ。来年は就活真っ只中かもしれないから」
だから“最初で最後かと思って、行く”と、この前言ってたんだよね。これで一緒に行くのは決定だ。
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