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自治体で決めたことに、雇われている側の先生が反対するのは確かにリスクがあるのかもしれない。けど、担任の岡屋先生も、「がんばれよ〜」なんて言いながら鼻歌まじりで署名してくれた。
「被服室って、いつからあるの?」
一口目のハンバーグを飲み込んでから聞くと、ママは首をかしげた。
「さあ? 少なくともママが中学生の頃からあったわ。一時的に生徒が増えた時期に教室が足りなくなって西校舎を増築したらしいから、強度の問題とかがあるのかもね」
「あおいもそう言ってた」
あおいのお母さんはPTAの役員で、西校舎取り壊し計画のことも以前から知っていたらしい。だからこそあおいは余計に憤慨して、署名活動の旗手になったのだ。
「被服室がなくなっちゃったら、おさじさん、どうなるのかな……」
おさじさんが人間なのか、妖怪か幽霊か九十九神的な何かなのか、たぶん誰も知らない。確かなことは、ずっと昔から被服室にいて、生徒の制服に魔法をかけてくれること、だけだ。
「なくならないように、署名活動始めたんでしょ?」
「そうだけど……」
「じゃあさ、生徒の家族の署名も集めてみたら? 家族ぐるみで参加してくれたら、それだけで3倍、4倍になるじゃない」
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