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うちはママと二人家族だけど、この街には二世帯同居家庭も多い。ここで育った人たちなら、みんなおさじさんを知ってるはずだ。
「そっか、先生も参加してくれてるくらいだし、大人はみんなPTAの味方ってわけじゃないよね」
「もちろん。大変だと思うけど、商店街でも声かけたら、もっと増えると思うよ」
「でもさぁ、子どもいない人たちにとっては他人事じゃない?」
「あら、誰でもみんな、昔は子どもだったのよ?」
「……そう、だね」
つい忘れてしまう。パパもママも先生たちも、商店街のおじいちゃんおばあちゃんだって、数十年前には子どもだったということを。だって、失礼ながら想像がつかないのだ。20年前、40年前、この街で、あの中学校で、今の大人たちが青春していた、なんて。
「ママって、どんな中学生だった?」
「優等生だったわよ。図書委員で文藝部」
「ハイ嘘。パパと仲良くなりたいから文藝部に入っただけって前言ってた」
「あらま、そうだっけ?」
五年前に亡くなったパパは、いかにも元優等生って感じの大人だった。けど、ママはどちらかと言うと不良タイプだ。昼間からお酒を飲んだり、夜中にアイスを食べたり。もしもママがあおいのお母さんみたいにキチッとした人だったら、二人きりの家はもっと息苦しかっただろうから、まぁいいんだけど。
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