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しかし彼女の挙動不審に気づいたらしい京介に、「千晶を安心させたいから」もう燈里とは何でもないとはっきり見せたいと頼まれた。
その結果三人で会ったのが七月で、もう二ヶ月前になる。
その際に改めて連絡先を交換し、たまにメッセージのやり取りをしていたのだ。
趣味や興味の対象は正直まったく合わないが、千晶は強引に自分の好みを押し付けて来る相手ではないので不快なことは何もない。
今日は初対面以来初めて、実際に顔を合わせることになったのだ。
ちなみに、京介を交えて会う予定はない。彼も今では友人の一人ではあるが、『元彼』には違いないからだ。
会っても疚しいことなど何もないとはいえ、今の恋人を想えば到底そんな気にはなれなかった。彼はそういうことを気する人間ではないと知ってはいても。
本来、京介と切っても切り離せない千晶とも繋がりを保つべきではないのかもしれない。
最初は、メッセージだけの関係でも迷う気持ちが強かった。
それでも、今の千晶は燈里にとってごく普通に好感の持てる親しい友人になっている。会って話したいというのも自然の流れだった。
言葉遣いはフランクになったが、燈里は元々の生真面目な性格もありどうしても名前に『さん付け』になってしまう。
千晶に「燈里ちゃん」と呼ばれるのに抵抗はまったくないのだが。
もっと打ち解ければ、また変われるだろうか。
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