37 全ての色がぶつかって

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 ハッとしたときには、クリーム色の毛並みが紫に染まったショコラがいた。――考えなくてもわかる。呪いを魔力ごとショコラが吸い取ったのだと。 「ショコラ!? ショコラ!」  ベッドの上に倒れ込んだショコラを慌てて抱き上げてからアルト様を見上げる。アルト様も呆然とショコラを見ている。ショコラの行動に驚いているようだ。 「アイノ、気分は……大丈夫そうね、よかった。アルト、そんな顔しないで。これが一番いいってことは貴方だってわかるでしょう」 「…………」 「待って、私はわからないよ! アルト様、回復魔法でどうにかならないのですか!?」 「……難しい」 「そんな……! だからって、ショコラが! ダメだよ!」  私はショコラから瘴気を奪い返そうと思って、キスしようとするけれど。ショコラは身をひるがえして私の腕からすり抜けていった。 「ショコラ! お願い! 私を庇って死ぬとか、そんなのはやめてほしい、お願い。返して、それ」 「いいのよ、アイノ」  そうショコラが微笑むと、いつものミニチュアダックスの姿がぐんにゃりと歪んで消え、その場には金色の炎のようなものが現れた。そしてその炎には先ほどの紫の瘴気がまとわりついている。 「私は元々存在しないものなの。犬の姿をしていただけ。だから、あなたの死ぬとは違う」 「ど、どういうこと……!?」  理解が出来なくてアルト様を見ると、思い悩むような苦し気な表情が目に入った。 「ショコラは二十年前に滅ぼされた一族の魔力の集合体なんだ」 「え?」
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