38 夜の終わりとはじまりの朝

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 翌日。  臨時魔法士たちが何名か城に戻ってきた。  あの日バルコニーから城内に侵入したショコラが、広間の隣にある空き室と魔の森の城を繋いでいてくれたのだ。  彼らの説明によると。あの場で、マティアス様が新国王になると宣言したらしい。  国民はかなり動揺していたけれど、あの場にいたのは平民ばかりだ。マティアス様の語る「平等な世界」を信じたいという声も多かったのだとか。  元国王やあの場にいた国の中心人物は投獄された。彼らはマティアス様の掲げる「平等な世界」に反対する家ともいえる。そして私を襲ったのは第二王子らしく彼もまた投獄されている。  あの場にいなかった大臣や元国王派の家も、元国王と第二王子がいない今おとなしく従うしかないだろう。  ……かなり強引な手ではあるし、現時点では国のトップが入れ替わっただけだ。マティアス様の語る世界は美しいけどきれいごとも多い。  これからどうなっていくかは、正直わからない。  だけど、これは元々乙女ゲームの世界。正義はきっと勝つし、ちょっとご都合主義だって許される……そう信じたい。  マティアス様を始めとする主要人物たちは、こちらに戻ってくることはもうなさそうだ。また会うときは国が落ち着いてから、そう約束していた。  彼らにはやるべきことが多すぎる。臨時魔法士たちも状況を説明するために戻ってきただけで、報告だけ済ませるとすぐに王都に戻っていった。  臨時魔法士たちは、嬉しそうに語っていた。これからも王子直属の軍として国に重用してもらえることを。  きっと彼らの存在は国の力になるし、平民と貴族の壁がなくなる第一歩になるだろう。  そして、リイラが国に狙われることもなくなった。  リイラたち家族は元の生活に戻ることになり、リイラとも一時お別れだ。でも今回のお別れは寂しくない。 「次、魔の森に遊びに来るときは門から堂々と入ってきてね」そんなことを言えるのだから。
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