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今日は王城で国民へ演説があるらしい、と生徒たちが噂をしていた。普段なら民への演説など気にも留めないことだが、今回は内容が内容なので事前に親から話を聞いている生徒がほとんどだった。
「あんな場所でぎゅうぎゅうになって話を聞くなんて耐えられないよな」
「仕方ないわよ、平民なんだから」
「でもこれで安心ですわね」
そんな会話ができるのは、今日の演説の内容を知り穏やかな心持ちになったからだ。
偽物の白の花嫁が処刑され、真の花嫁がいる。じきに魔の森に軍突入がある。暗黒期の終わりはまもなく訪れ、自分が花嫁に選ばれることもなかったと安堵しているからだ。
サンドラは噂話に相槌を打ちながら、内心面白くない。
サンドラは貴族の情報には疎かった。彼女は父親とはほとんど話したことがなく、父親経由の連絡など来ない。クラスメイトは自慢げに政治についても語ったりするけれど、サンドラはそういった話に今までも入れたことはなかった。
元々サンドラの母は娼婦だ。その事実は学園でひた隠しにしていて、母の実家を聞かれるとアイノの母親の生家を答えていた。
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