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ある日のこと。
庭掃除をしていたアイノは母に呼び出された。部屋に向かわなければ何をされるかわからない、彼女は急いで母のもとに向かった。
「遅かったわね」母は苛ついた様子でアイノを見た。部屋には姉のサンドラもいてアイノを睨みつけている。一体何をしてしまったんだとアイノの身体はこわばる。
「お待たせして申し訳ございません」
母は大きなため息をつくと、カードをアイノの足元に投げ捨てた。
「あなた宛です」
「私……ですか」
アイノにカードを送ってくれる存在は思いつかない。いるとすれば王都に住む父くらいだが、この誕生日でさえ一度も手紙をもらったことなどない。アイノがカードを拾うと真っ白なカードに文字が浮き出てくる。
「これは……」
それは入学通知だった。これが何なのかアイノは知っている。王都にある魔法学園アロバシルアの入学通知だ……! 十六歳になると魔力のあるだけに者に入学通知が送られるとは知っていた。
隣を見ると悔しそうな顔をしたサンドラも同じカードを持っている。サンドラは姉だが、年齢は同じなのである。
「なんでこいつに」
「魔力がある子供には届いてしまうから」
「嫌よ! こいつと一緒には通いたくない。お母様なんとかならないの? 目に入るだけで気分が悪いわ」
「国が決めたことだから逆らえないわ」
「こんなグズにも届くなんて。国は何を考えているのかしら」
サンドラはアイノをさらに強く睨みつけるけれど、アイノは二人の会話が頭に入らない、それどころではない。思考をびゅんびゅん巡らせていた。
この生活から抜け出せるわ、アロバシルアは全寮制の学校なんだから!
私の少ない魔力でも認められるなんて!嬉しい!
――いや、アイノはそんなことは考えていなかった。彼女が考えていたことはただひとつ。
(わたし、転生してる――!?)
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