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 藤井には勘繰ってしまったが、昨日は自分でしていなかった。 今夜の、今この時のためにと、とっておいたのだ。  短かったが続けざまに何度も放ってしまった挙句に、信じられないくらいに気持ちがよかった・・・・・・  松島は、しばし呆然と余韻に浸り切ってしまった。  自分へと口付けていた藤井の唇がゆっくりと離れていって、やっとのことで藤井の体を思い遣れる様になった。  仰向けに寝転がった藤井は、ベッドの上で『大』の字を描く。 いくら、自分のベッドだからといっても、松島が横たわれる空間(スペース)はどこにもなかった。 ――それを(おもんぱか)る余裕を、今の藤井にはまるで持ち合わせていなかった。  ついさっきまで松島の唇を自ら進んで求めていたというのに、今は、新鮮な酸素を欲して止まない。 口を大きく開き、速く激しく呼吸を繰り返している。  その必死な、――必死過ぎる藤井の口元に、松島の目は否応なしに吸い寄せられる。 藤井が未だに息が整わなくて、苦しいのを承知の上で、口付けたくて口付けたくて仕方がなくなった。  松島が、ゴクリと口の中に溜まった唾液を飲み込んだのと同時に、藤井が言った。 「松島・・・・・・松島はイッたのか・・・・・・?」 「あ、あぁ・・・・・・」
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