15 ※

4/5
前へ
/122ページ
次へ
 胸についた二つの突起は、血の色が上ったままの顔と同じ色をしていた。 松島の口の中に、藤井のサクランボの甘酸っぱい味が蘇ってくる・・・・・・ 食欲と性欲とがぐちゃぐちゃに混ざり合い、区別がつかなくなったものが、松島の下腹部を重怠くしていった。  藤井の胸のさらに下、平らかな腹は自身が放ったものに濡れ塗れていた。 照明のLEDライト特有の白っぽい光に文字通り『テラテラと』照らし出されている様は、ひどくいやらしくて、ひたすらに松島の目を惹く。 今は子供っぽく見える藤井の顔との対比(ギャップ)が、凄まじかった。  もしかしたら、全く応じてこないくせにあからさま過ぎる、松島の視線から逃れるためだったのだろうか――。  大の字で仰向けに寝っ転がっていた藤井が、左向きへと寝返りを打った。 ベッドヘッドに置いてあったボックスティッシュへと、腕を伸ばした。  手探り(ノールック)で無造作に掴み取ったティッシュの束で下腹部を拭き終え、藤井はポツリとつぶやいた。 「――やっぱりベタベタするな。完全には拭き切れない」 「・・・・・・」  自分に向かって言われたのではない、単なる藤井の感想なのは松島にも分かる。 しかし、心苦しく思ってしまう。 「藤井・・・・・・」
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!

95人が本棚に入れています
本棚に追加