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胸についた二つの突起は、血の色が上ったままの顔と同じ色をしていた。
松島の口の中に、藤井のサクランボの甘酸っぱい味が蘇ってくる・・・・・・
食欲と性欲とがぐちゃぐちゃに混ざり合い、区別がつかなくなったものが、松島の下腹部を重怠くしていった。
藤井の胸のさらに下、平らかな腹は自身が放ったものに濡れ塗れていた。
照明のLEDライト特有の白っぽい光に文字通り『テラテラと』照らし出されている様は、ひどくいやらしくて、ひたすらに松島の目を惹く。
今は子供っぽく見える藤井の顔との対比が、凄まじかった。
もしかしたら、全く応じてこないくせにあからさま過ぎる、松島の視線から逃れるためだったのだろうか――。
大の字で仰向けに寝っ転がっていた藤井が、左向きへと寝返りを打った。
ベッドヘッドに置いてあったボックスティッシュへと、腕を伸ばした。
手探りで無造作に掴み取ったティッシュの束で下腹部を拭き終え、藤井はポツリとつぶやいた。
「――やっぱりベタベタするな。完全には拭き切れない」
「・・・・・・」
自分に向かって言われたのではない、単なる藤井の感想なのは松島にも分かる。
しかし、やっぱり心苦しく思ってしまう。
「藤井・・・・・・」
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