95人が本棚に入れています
本棚に追加
16
言葉に詰まった松島へと言う藤井の語気が、ほんの僅かにだが強まった。
――強まった様に、松島の耳には聞こえた。
下腹部に溜まりつつあった熱が、欲望を押し上げ持ち上げているかも知れない・・・・・・
松島はつい反射的に下を向いて、まじまじと確認をしてしまった。
幸いにも、半勃ちにもなっていなかった・・・・・・
ホッと一安心して顔を上げた松島を、藤井の呆れ顔が待ち構えていた。
「一体ドコ見てんだよ。俺が言ってんのは、ココのこと。ココ!」
藤井は、人差し指でトントンと自分の頭の側面を叩いてみせる。
釣られて自分も頭へと手を伸ばしてみた松島はやっとのことで、藤井が何を言わんとしていたかを理解した。
ハロウィン・コスプレの、オオカミの耳付きカチューシャを着けたままだったのだ!
今も着けているのであれば、当然、少し前にもそうだったわけで――。
つまりは、藤井との性行為の最中も、バッチリと着けっ放しだった。
「うわあぁぁぁ・・・・・・!」
松島の喉の変なところから、変な声が絞り出されてくる。
「そんな格好のままで、あんなことやこんなことをしてしまって、恥ずかしい!」という気持ちも、確かに在った。
最初のコメントを投稿しよう!