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聞き返されたのか、それとも単に驚かれたのかは分からないままに、藤井はもう一度、松島へと申し出てみた。
「だから、これから俺と一緒にシャワーを浴びないか?」
「・・・・・・」
「嫌なら、別に無理にとは言わないけど・・・・・・」
一向に返事をしてこない松島に、途端に藤井は不安になる。
顔ごと、目を逸らした。
松島が叫ぶ。
「そんなことない!ただ――」
「ただ?」
視線を戻した藤井が、松島の言葉の先を促す。
今も松島に掴まれている手首は痛くなかったが、ひどく熱かった。
一転して、今度は松島が藤井から目を逸らした。
伏し目がちになり、つぶやく。
「どうして、そんなこと言うのかと思って・・・・・・」
「どうしてって――、その方がお互い早く寝られるだろ」
藤井の呆れた声が答えた。
ジワジワと迫りくる眠気のせいか、知らず知らずのうちに藤井は苛立っていた。
松島が何故そんなことを訊ねてきたかなんて、考えてもみなかった。
「そう・・・・・・か。うん!そうだな。そうする‼」
弾かれた様に顔を上げ、賛成する松島に、藤井はそれ以上の質問をすることが出来なかった。
有無を言わせない勢いで、松島が藤井の体を引っ張り上げた!
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