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今度、松島が部屋へとやって来た時も、藤井は何事もなかったかの様に平然と迎え入れてやる気満々だった。
前回、松島がしたあんなことやこんなことの数々は、全然大したことがない、何でもないことだと思い知らせてやりたかった。
そこまで考えて、――考え抜いて、藤井はふと気が付く。
どれもこれも、どうでもいいことなんかじゃない、と。
狼の扮装をして、その姿のままで致してみたり。
お菓子によく似た玩具を持ち込んでみたり。
内容はともかく、好き勝手に『やりたい放題』なのは、まるっきり無邪気な子供のソレだ。
――ハロウィンに家々を回り、悪戯をチラつかせてはお菓子をねだる子供そのままだった。
「そういえば、そんなことを言っていたな」と、藤井は昨夜、松島がやって来た時を思い出す。
藤井が松島の何か(実は狼)のコスプレを指摘すると、「ハ、ハッピーハロウィン~‼」と叫んできた。
――急に、無理矢理大声を出そうとしたのだろう。
変に上ずった、調子っ外れの声へとなってしまった。
続けて松島は、「お菓子をくれなきゃ、イタズラしちゃうゾ~ガオー‼」と、まるで『取って付けたかの様な』白々しさで言い足した・・・・・・
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