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 ダメだ――。 どうしても、思い出しただけでも笑いがこみ上げてくる。  とうとう堪え切れなくなった藤井は、部屋に独りっきりで居るにもかかわらず、つい声に出して言ってしまった。 「全く。結局、お菓子をあげても散々悪戯しやがって・・・・・・」  昨夜、藤井は「松島のために」とデザートを二種類も作った。 そんな藤井自身が最終的には、自分までも松島に「甘々のトロっトロにされて」美味しく頂かれた。  苦笑をするのを通り越して、藤井は呆れて笑うことしか出来ない。 笑ってしまった自分の負けだと思う。  最初から、勝敗は決まっていた。  ――そう、『スマイル』で『スニャイル・フレンドカード』を松島に拾われたその瞬間に。  「松島には敵わない」と思い知らされる度に、藤井の頭には毎回同じ言葉が思い浮かんだ。 「ポイントカードを落としたのが、随分と高くついたな・・・・・・」  今みたいに、実際に声に出してつぶやいてしまう。 その顔が笑っていることを、藤井本人はまるっきり知らなかった。 全然、自覚をしていなかった。  マカロンもどきと並んで置かれているスマートフォンが鳴った。 メッセージが届いたのを知らせる音だった。
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