95人が本棚に入れています
本棚に追加
ダメだ――。
どうしても、思い出しただけでもふつふつと笑いがこみ上げてくる。
とうとう堪え切れなくなった藤井は、部屋に独りっきりで居るにもかかわらず、つい声に出して言ってしまった。
「全く。結局、お菓子をあげても散々悪戯しやがって・・・・・・」
昨夜、藤井は「松島のために」とデザートを二種類も作った。
そんな藤井自身が最終的には、自分までも松島に「甘々のトロっトロにされて」美味しく頂かれた。
苦笑をするのを通り越して、藤井は呆れて笑うことしか出来ない。
笑ってしまった自分の負けだと思う。
最初から、勝敗は決まっていた。
――そう、『スマイル』で『スニャイル・フレンドカード』を松島に拾われたその瞬間に。
「松島には敵わない」と思い知らされる度に、藤井の頭には毎回同じ言葉が思い浮かんだ。
「ポイントカードを落としたのが、随分と高くついたな・・・・・・」
今みたいに、実際に声に出してつぶやいてしまう。
その顔が笑っていることを、藤井本人はまるっきり知らなかった。
全然、自覚をしていなかった。
マカロンもどきと並んで置かれているスマートフォンが鳴った。
メッセージが届いたのを知らせる音だった。
最初のコメントを投稿しよう!