3/8
86人が本棚に入れています
本棚に追加
/122ページ
 カルーアを牛乳で割った『カルーアミルク』の他にも、カルーアとウオツカとを1:2の割合で混ぜた『ブラックルシアン』や、ウオツカをブランデーに替えた『ダーティーマザー』などのカクテルがある。  どちらのカクテルも、ベースはアルコール度数が高い、――いわゆる『ハードリカー』だからか、何とも名前が物騒だ。 それらに比べると『カルーアミルク』は可愛らしく聞こえるが、そうでもないもを藤井は知っている。  突然、松島が叫んだ。 「アノ、『大人のコーヒー牛乳』みたいな味がするカクテルか!」 「――何だよ。その、いやらしい言い方は。プリンにはカラメルソースを敷いてないから、カルーアをかけて食べてくれ」  口ではそう、カボチャプリンの食べ方を説明しながらも、内心藤井は驚く。  そう、松島が言う様に「いやらしい」のだ。  コーヒーのリキュールであるカルーアの甘さと苦さ、そして牛乳のまろやかさとが相まって、『カルーアミルク』は実に口当たりのよい飲みやすいカクテルだった。  それ自体は、別に「いやらしい」ことでも何ともない。 そのことを利用し、お酒に詳しくない女性へとわざと勧める輩がいるのだ。
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!