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13 ※
何もかもが、松島が言う通りだ。
もしも、甘いものを嫌いになったのならば、わざわざ作るどころか見るのも嫌になるだろう。
松島に言い聞かせられた今の今まで、藤井は全然思い付かなかった。
――自ら、気が付こうとしなかった。
やっと手のひらが退けられた藤井の口元は、苦々しく笑っていた。
スッキリとしていて、清々しくさえあった。
「そうか・・・・・・俺、お菓子のこと嫌いになっていなかったんだな」
「そうだよ。ホント今さらだよ」
しみじみと半ば独り言としてつぶやく藤井に、何事もあまり気にしない松島もさすがに呆れた様だ。
釣られて、自分自身でも苦笑する。
その顔を見て、藤井はもう一つのこともちゃんと松島に告げようと心に決めた。
「その、心だけじゃないんだ――」
「は?」
案の定、藤井が想像していた通りに松島が驚く。
首をかしげる仕種までが、そっくりそのまま同じだった。
藤井はもう口を覆わなかったが、思わず横を向いてしまった。
顔の右半分が、松島の視線を受け止める盾となった。
「体も、と言おうか――、思い出すんだ」
「・・・・・・」
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