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すぐ近くで、松島の声が言う。
藤井の右の耳へと、直に熱い息が吹きかけられた。
「俺と『してる時のこと』って――」
「⁉」
てっきり、続けて松島に「一体、何?」と訊ねられるのかと決めつけた藤井は、反射的に目を見開いてしまった。
「こういうこと?」
「あっっ‼」
藤井の勘は、まるっきり外れた。
大ハズレもいいところだった。
松島は口ではなく、直接手を出してきたのだ。
藤井の脚の間を片手で広げ、さっきはマカロンもどきで撫で擦ってきた狭い道を、今度は指の腹で辿った。
マカロンもどきは肌触りこそ滑らかだがヒンヤリと冷たかった。
いかにも『人工物』、造り物の印象を藤井は受けた。
――しかし、松島の人差し指は違う。
当たり前だ。
今、この瞬間に触れてくる松島の指先は、もちろん造り物などではない。
熱を帯びているはずの藤井の箇所でも、ひどく熱く感じられた。さっきから藤井が疼いて疼いて堪らない一番熱い部分の『入り口』へと、松島の人差し指の腹が当てられる。
「あぁっ‼松島ぁっっ!」
藤井はとっさに叫んでしまう。
そんな藤井を、まるであやしてなだめるかの様に、松島は笑いかけてきた。
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