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一瞬だが思わず藤井が見惚れてしまう程に、見事な『満面の笑み』だ。
「大丈夫。いくら藤井が甘々のトロっトロでも、いきなりそのまま突っ込んだりはしないから」
告げられた言葉も又、藤井が聞き惚れてしまう完璧さだった。
「・・・・・・」
ただ、藤井はそんなことを思っていたわけではない。
待ちかねていた箇所をやっと松島に触ってもらえて、つい、大声を出してしまったのだ――。
そのことを隠し通したまま押し黙っている藤井へと、松島が訊ねてくる。
「えーっと、ローションとかは何時もの所?」
藤井がうなずくのを見て、松島は勝手知ったるベッドヘッドへと手を伸ばした。
手慣れた動作でテキパキと準備を進めていく松島を、藤井は顔を背けつつもチラチラと窺う。
手のひらを上へと向けた松島は、そのまま動かさない。
じいっとしている。
――こぼし拡げたローションへと、自分の体温を移しているのだ。
「・・・・・・」
何度見ても、その仕種に藤井の胸は熱くなる。
これから松島に与えられるだろう快感を期待してでは、ない。
とても思い遣られている、大切にされていると、実感出来る瞬間だからだ。
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