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 松島は、単に優しいだけではなかった。 手のひらへと落としている目はローションを映し出し、濡れ光っている。 その目がとても性的(セクシー)で、扇情的に藤井には見える。 ――どれ程、松島が空腹で料理をガッついていたとしても、見られない烈しさだった。  どんなご馳走よりも、自分は松島にとって『美味しい』のだろう・・・・・・ そうに違いない。  藤井は心密かに決め込んで、思う存分に自惚れた。 読心術など会得をしていない松島が、藤井へとお伺いを立ててくる。 「痛かったらすぐ教えて」 「分かった」  松島と交わすのやり取りも毎回ほぼ同じ、――はっきり言って一緒だった。 もはや『お約束』と断言してもいいくらいだったが、藤井はけしてマンネリだとは思わない。  藤井が返事をすると、それに応えてなのか松島は必ず小さなキスを寄越してくる。 「少しでも脱力(リラックス)出来るように」という、松島の気配りの証しなのだと藤井は捉えている。  つい、笑顔になって両端が持ち上げる藤井の唇へと、勝手に追加(おかわり)をしてくる松島だった。 ――それで、藤井はすっかりと体の力を抜くことが出来た。 「ふぅっ」
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