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松島の指先が潜り込んできた瞬間、藤井は声ではなく小さな息を漏らした。
痛みではなく、体の中が冷やされる感覚にどうしても身構えてしまう。
松島がどれだけ自分の体温をローションに馴染ませてくれていたとしても、反射ばかりはどうすることも出来ない。
しかし、ほんの一瞬だけだ。
まるで、待ち望んでいた松島の指を歓迎するかの様に藤井の中がうねった。
より奥へと引き込み、飲み込もうとして収縮する。
「あっ⁉はぁっ・・・・・・あぁっっ‼」
全く藤井の意図、意思を反映していない動きだった。
自分でもはっきりとそれが感じ取れた藤井は、ひどくうろたえる。
体の中だけではなく外、――顔までをも熱くした。
鮮やかな赤の色に誘われたのか、松島が顔を寄せてくる。
血を上らせた藤井の頬を、松島のささやきが掠める。
「・・・・・・ホントだ。藤井の中、すっごいトロっトロ――」
「い、言わなくてもっ‼」
「いいっっ‼」と、藤井は完全に突っぱねることが出来なかった。
――ついさっき、松島に訊ねられたわけでもないのに、自己申告したのを思い出したからだ。
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