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 当然、松島は『抜き挿し』をしている回数なんて数え(カウントし)ていなかった。  これ以上繰り返しを続けると暴発する、堤防が決壊するギリギリの防衛線(ライン)上に立ってやっと、藤井へと告げてくる。 「藤井、俺と一緒に・・・・・・」  名前を呼ばれた瞬間、藤井は左肩越しに振り向いた。 おそらくは「イって」と続けようとした松島の口へと、自分のを押し当てた!  絶頂の絶叫を自分に聞かせたくないからなのか、――それとも、単純に感極まってしまったからなのか。  松島には、どっちなのか分からない。 ただ、思い当たることはあった。  自分との性行為(セックス)の際、本当に最後の最後の瞬間に必ず、藤井は口付けてくる。 ――例え、どんなに無理矢理な体勢であったとしても、だ。  もはや、藤井の(へき)だと言ってもいいだろう。 文字通りに、『性癖』だった。  松島は、藤井の荒っぽい口付けに驚くのと応じるのとの両方を、見事にやってのけた。 話すためにではなく、潜り込んできた藤井の舌を捕らえるために自身のを動かす。  同時に、藤井の体の前の欲望を探り当てて掴んだ。 「‼」  ギリギリ痛くない絶妙な力加減で握りしめられて、藤井は息を飲み込む。 思わず、その拍子に中までをも絞めつけてしまった。
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