Aの確信

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Aの確信

Aは帰宅したが自分のしでかしたことで少し錯乱していた。 飲酒運転での人身事故だった。 Aは一睡も出来ずに翌朝を迎えた、ハッキリ自分がしたとんでも無い事態がありありと思いだしていた。 慌ててテレビをや新聞を見ても読んでも轢き逃げに関する物は一切出ていなった。 「昨夜だから今日の夕刊に載るか?」 「いや・・もしかしてまだ遺体は発見されて無いのか?」 そんな事は無いあの激突ではどこの誰かはわからないけど死んだとAは確信をした。 部屋の窓から見えるAの車はフロントバンパーが凹んで・・イヤ右が外れているのが確認できた。 それを見てAは確信したのだ。 「俺は人殺しだ」 Aはそのまま事故車をどうするか考えていた。 先ずは車にカーシートを被せた。 これで通りからは見えないだろう! テレビは付けっぱなしだった。 Aはとにかくあの車をどの様に処分しようかと考えていた。 海に沈めるか? 山奥に放置するか? イヤ一番いいのは車を廃車・・つまり潰して事故の跡形も無くし、そして廃車手続きをしたなら俺は助かる! 轢き逃げの証拠は無くなる! 潰すには廃車屋に事故車を出さないといけない・・それはあまりにも危ない橋を渡る・・! 誰にも知らずに潰して廃車手続きをしないと・・! とにかく痕跡(アシ)が付く事は絶対避けたい! 逃げ切るには正式に手続きを踏む事が一番だとはわかっていた。 余計なことをしては絶対に捕まえるのだ。 Aは変に冷静だった! Aは考えた・・そもそもどうして事件報道が為されないのか? 「そうか・・昨夜は台風で大雨だった・・風も強く吹いていた!」 Aは確信したのだ・・証拠物は台風で吹き飛び雨が綺麗に洗ってくれた。 捜査は難航して居るから警察も発表出来ないんだとAは思った。 でも・・このままではいつかは捕まるとAは思っていた。 とにかく余計なことは絶対しないでなんとか事故車を潰して廃車手続きをすれば俺助かる! 夕方になり夕刊もテレビニュースも轢き逃げ事件報道は無かった。 「・・もしかして轢き逃げでは無いのか? 犬か何かだったのか?」 いやあの衝突して車を急ブレーキを脚に力いっぱい掛けたあの嫌な感覚が残っていたし、そのまま急発進してバックミラーから見えた人影が国道まで飛ばされて倒れていたことはミラー越しから見た。 倒れた人は雨でも分かるくらいに黒い血が道路に広まっていたとAの記憶が蘇る。 Aは何度も何度もテレビやラジオをに眼と耳を傾けていたが一向に報道はされて無かったのだ。 三日間が経った。 相変わらず轢き逃げに関する報道は無かった。 Aは少し安堵していた。 きっと野良犬か何かなんだろうか? そのまま仕事に行っても浮ついて気がすぐれない感じだった。 ただ仕事場でも轢き逃げの話題は無かった。 今日で5日目の朝を迎えた。 Aの不安は少しやわらいでいた。 あの日台風がきっと大きく捜査を混乱難航させているとAは思った。 それならやはり事故車をなんとか廃車手続きをしなければならないと考えた! 絶対焦って余計なことをしてはダメだとAは当初の思いを深く固めた。 捜査が難航して居る隙にどうにか事故車を潰して廃車手続きをしなければならない! 県外で廃車手続きをするか? イヤダメだ、そんなことをすれば尚更怪しまれる! 一週間が過ぎた。 Aはまだいかにして事故車を潰して廃車手続きをするか悩んでいた。 ただ相変わらず轢き逃げに関する報道はされて無い! Aは確信して居る! 絶対にあの暴風と雨で捜査が難航して居ると確信していた。
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