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主人公は好奇心旺盛の小学生の少年カイ。夏休みにおじいちゃんの家に集まった親戚の子供達と近くの廃墟を探検しているうちに、不思議な扉を見つけ中へ入ってみると、そこは恐ろしい呪われた空間が広がっていた――その怪異と冒険を描いた物語だった。
「昂輝、おやつ食べないの?」
昂輝は驚いて本を顔に落とした。
「いきなり入って来ないでってば」
「何度もノックしたわよ。降りて来ないなら、昂輝のケーキも食べちゃおうかな」
「えっ、ケーキ? 食べるよ」
「あんまり一気に読むと怖い夢見るよ」
「分かってるけど、仕方ないんだよ」
小さい時からこの手の話は大の苦手だった。
「ねえ、透兄ちゃんってどんな人?」
「どんなって、そうねえ。個性的っていうのかな」
その言葉に少し不安になる。
「ねえ、お母さんも一緒に行こうよ。じいちゃんの家」
「あの家ちょっと変わってて好きじゃないのよねえ」
「え、何で」
「子供の時、かくれんぼで押入れに隠れていて全然見つけて貰えなくて夜になっちゃったり、謎の開かずの扉があったりね。修理と改装を繰り返しているうちに空間が捩れちゃったんだと思うのよね」
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