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 宮田は陸人から視線を外して、苦しそうに声を出した。 「仕事には向き不向きっていうものがあると思うの。陸人くんはまだ若いんだし、アルバイトなんだから、早いうちに決断をした方が良いんじゃないかと思って」 「それって辞めろってことですか……?」  宮田は何も言わない。 「待ってください!」  ほとんど反射のように叫んでいた。机に手を置いて立ち上がった陸人をびっくりした顔で宮田が仰ぎ見る。 「俺、今日から本当に頑張りますから! 俺はどうしてもオペレーターになりたくて、ここに応募したんです。ほんとはここで正社員になりたかったんですけどそれは落ちちゃって……。でも、オペレーターの仕事ができるならバイトでもぜんぜん良くって。だから、あと一ヶ月間だけ待ってもらえませんか。ぜったいに社内テストに合格するのでっ!」  たとえ教育チームのメンバー全員に疎まれているとしても、ここで引き下がるわけにはいかなかった。なんとか宮田に考え直してもらえるよう、必死の形相で訴える。 「陸人くん、落ち着いて」
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