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ジャックとの通話を切ってから五分足らずで、リビングルームに人が降りてくる気配がする。
くだんの黒髪の男は、堂々と玄関から俺の家を出て行った。
玄関のドアが閉まる音。
そしてすぐに、通りの向かい側から車のエンジン音が聞こえた。
俺は運転席から出ると、再び荷物を抱えてガレージから家へと入った。
階段を上がり、そのままベッドルームへと向かう。
扉は半分開いていた。
ニーナはベッドセットをすべて引き剥がしており、マットレスの上に新しいシーツを広げ、ベッドメイクの最中だった。
俺がいきなりドアを開けると、ニーナは猛烈に驚いた。だが、すぐさま落ち着きを取り戻すと、ゆったりと微笑んで言う。
「スタンリー、早かったのね。驚いちゃった」
「明日はまたダウンタウンだからな、早めに出て来た」
俺もそう平然と答えた。
「まだ、何の用意もしてないのよ、夕食」
ニーナは、床に落としてあったシーツをさりげなく拾うと、しっかりと手に持って小さくまとめる。
「今時分、ベッドメイクか? 手伝おう」
俺はごく優しくニーナに声をかけた。
窓は開け放ってあったが、さっきまでのセックスの匂いは、まだ生々しく残っている。
「大丈夫よ。先にシャワーでも浴びていたら? スタンリー」
ニーナは、やはりさりげなく俺の申し出を断ると、新しいシーツをマットレスに折り込む前に、外したばかりのピローケースとシーツを抱え、階下のランドリールームに下りていった。
俺はその場で制服を脱ぎ捨て、剥き出しになったマットレスの上へ投げ出すと、バスルームへと向かう。
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