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ベッドの上。 俺がうつ伏せになり、枕に頬を押し当て目を閉じていると、隣に横たわっていたジャックが、突然起き上がる。 そして今度は、俺のヒップの割れ目に手を滑り込ませてきた。 ジャックの手にたっぷりと塗られたジェルは、まだ冷たい。 だが、その冷たさもすぐに感じなくなるほど激しく、ジャックは、俺の睾丸からアナルまでを擦り続ける。 ベッドに膝をついて「その行為」に没頭しているジャックの方を、俺は首だけ傾けて眺めやった。 「そのポーカーフェイスって、いつまで続くかな?」 ジャックは、妙に淡々と口にすると、今度は俺のアナルを、指先で複雑に刺激し始める。 俺は奥歯を噛み締め、呻き声を押し殺した。 けれどもアナルは、ジャックの指の動きに合わせて、小刻みに痙攣を始めてしまう。 「もう……いいかな? いや? まだかな」 独り言のように呟いて、ジャックが指を、中へと滑り込ませてきた。 そして指の数を変えながら、はじめはゆっくりと、次第に小刻みに出し入れさせる。 俺は押し殺しきれなくなった声を、何度か、溜息にして吐き出した。 ジャックがもう片方の掌で、俺の睾丸を包む。 ジャックの長い指が、俺のペニスの先端にまで触れそうだった。 「スタン……こんなに大きくなってる」 ジャックが耳元で囁いてくる。 「良い? ううん、感じてるって、わかってるよ」 俺は思い切りジャックを睨みつけてやった。 だが腰の方は、ジャックから与えられる刺激に忠実に、自分の意思とは無関係に、痙攣を始めている。 「さあ、本番だよ。『教官』」 そう鋭く囁くと、ジャックは俺の腰を引き掴んだ。 ジェルまみれになっている尻を割り開いて、ペニスを強く押し当てる。 俺は思わず、両肩を震わせた。 出し抜けに、奥深くまでペニスを差し込むと、ジャックは叫び声をあげる。 「……あ、すごい、すごいね、スタンの中、熱くて」 息づかいが激しさを増し、ジャックはしばらく動きを止めた。 その間も、俺はジャックのものを締め付け続けてしまう。 ヤツが、俺のペニスを玩ぶ事を止めていなかったからだ。 息を整えてから、ジャックが、 「さあ、どこが良いのかな? スタンは」と、色々な方向に自分のものを擦りつけ始める。 その動きの度に、ジェルが音を立てた。 やがて、ジャックの先端が、一番感じる部分に当たる。 どうしようもない快感に息がつまり、俺は枕に顔を埋めた。 二、三回、鋭い悲鳴を上げてしまう。 「ああ……ここ? スタン、ここがいいの?」 ジャックは自らも激しく呼吸をしながら言うと、先端をその部分に強く押し当てた。 あまりにも急激な刺激だった、 俺は達しそうになる。 だがその瞬間。 俺のペニスを玩んでいたジャックが、指に力をいれて先端を握りしめて、それを押しとどめた。 抑えることのできない叫び声を、俺は上げ続ける。 「まだだよ。教官、こんなに早くイッたら、カデット(訓練生)に示しがつかないから」 腰を浮かせてペニスを引き戻すと、ジャックはまた、勢いを付けて奥深くまで差し込んだ。 そして、大きく腰を動かしながら、俺の「その部分」を何度も攻め立てて、果てようとする度に、指でそれを押しとどめる。 悲鳴めいた嬌声も、もうかすれる程にしか出なくなった。 俺はジャックに、「降伏の申し入れ」をせざるを得ない。 「お前みたいに若くはないんだ。ジャック……あまり苛めるな」 唾を飲み込み、やっとのことで声を出す。 この言葉に満足したのか、ジャックはペニスから手を離すと、両手を俺の腰に添え、それまでよりもずっと小刻みに腰を動かし始めた。 「……あ、スタン、スタン」 今にも泣き出しそうな声で、ジャックが激しく射精する。 溶けそうに熱くなっている俺の中へと、更に熱いものが溢れるのを感じながら、俺も身体中を痙攣させて精液を放った。 俺の中に入ったままで、ジャックがくずおれるように背中にのしかかってくる。 そして頬を俺の肩に擦りつけた。 荒々しい息遣い。 ジャックの髪が、俺の頬をくすぐる。 呼吸が戻るのは俺の方が早かった。 身体を軽く揺すって、ジャックを背中から滑り落とす。 シーツを腰に巻き付けながら、俺はベッドから立ち上がり、 「そのまま出しやがって」と、吐き捨ててやった。 ジャックはけだるそうに寝返りをうって、ベッドの中から俺を見上げる。  「……出すんだったら、ちゃんと着けておけ」と付け加え、俺はバスルームへと向かった。 そして、ベッドへと戻ってきた俺に、ジャックが言う。 「僕はスタンとしかしないよ?」 「それは問題じゃない」 俺はつぶれた枕を叩いて膨らませ、首にあてがって横になる。 「……スタンが、他の男(ヒト)ともしてるから?」 「最近はないな」 勿論、ニーナの方が、どこで何をやってるのか判ったものではないのだが。 「だが問題は、それだけでもない。判るだろう?」 ジャックは少しの間、口をつぐんでいたが、小さく溜息をついて、 「判ったよ、今度からはそうする」と素直に応じた。 「いい子だ」 俺はジャックの頭を大きく撫でてやる。 ジャックが、サイドテーブルへ身を乗り出した。 リトルシガーのパックとライターへと手を伸ばす。 俺に手渡すつもりなのかと思いきや、シガーを取り出すと、それを銜え、おもむろに火を点けた。 そんなジャックの様子を、俺は額に当てた指の隙間から、しばらく観察する。 ジャックは、一気にたっぷりと煙を吸い込んでしまい、すぐに激しくむせこんだ。 「見た目がタバコみたいだからって、思いきり吸い込むからだ」 小さく笑って、俺は、ジャックの指から吸いかけのシガーを奪う。 そして、自分の口元に近づけながら続けた。 「吸いこむんじゃなく、軽く、ふかすようにするんだ……柔らかくな」 ジャックは唇を拭いながら、 「いつも、チョコレートみたいな香りがすると思ってたけど、味もするみたいだ、それ」と言う。 「フィルターにも着香してあるからな」 「アカデミーでも、よく吸ってたね」 ジャックはリトルシガーのパックを玩びながら呟いた。 「……そうだな」 煙と一緒に溜息も吐き出しながら、俺は答えた。 さすがに身体がダルい。 ジャックのヤツ、散々いたぶりやがって。 「あの頃は、喫煙にもまだ、今ほど色々うるさくなかったし。お前たちも十六時半以降は吸えただろう?」 「それはそうだけど……授業の後も結局、色々なアクティビティーに参加させられて。そんな暇なんか」 「なんだ、羨ましかったのか?」 吸い殻を入れようと、俺はジャックが用意してくれた例のフタ付きの箱を、指先でたぐり寄せる。 「別に、羨ましいとかっていうんじゃなくて」 一瞬口をつぐんでから、ジャックはこう続けた。 「『ストーン・コールド』なんて呼ばれてた強面の教官が、こんな『甘ったるいもの』を吸ってたってさ、あの時は全然判らなかったから……」 ジャックはめずらしく皮肉めいた物言いだった。 「同じ物、買ってみようかと思ったけど、レジャイナで売ってる店あったっけ? あまり見かけないものだよね。スタン、いつもこれ、どこで買ってるの?」 ジャックはシガーのパックとライターを、俺に差し出しながら尋ねる。 「どこで売ってるかって?」 俺は二本目を取り出し、ライターを回してゆっくりと火をつけた後、こう続けた。 「そいつは、秘密にしておこうか」
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