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ha・na・da
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解決の鍵を持つ、優しい眼差し。
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食糧庫を出た後も、出口の印を探すかたわらで、この会社と社員たちの情報をひたすら探した。
探せる場所は、すべて探した。でも、私の欲しい情報はどこにもなかった。
「休まないで、くまなく探すよ。アンタだって帰りたいでしょ?」
アヤサキは、そう言ってニッと笑った。
「次はここ。資料室だ。さあ、入ろう。」
資料室か……。
ここなら、欲しい情報も見つかるかもしれない。
そう思うと、不謹慎なのは承知の上だけど、胸が踊った。
正直なところ、出口の印なんてどうでもいい。きっと誰かが見つける。
「――誰だね?」
資料室の戸を開けると、部屋の奥から声が聞こえた。会議室にいた中年男性だ。優しく見守る眼差しが好印象だった。
「なんだ、アヤサキくんじゃないか。おや、君は会議室にいた……。見かけない顔だが、アヤサキくんの友だちかね?」
「は、はい。同じ部署の……。」
「そうか、そうか。印を探しに来たんだろう? 好きに探すといい。ちょうど、ここから出るところだったんだよ。」
「ハナダ課長。二階から順にくまなく探していますが、まだ見つかっていません。タカハシさんは、三階に行きました。」
「そうか。わたしはここから探し始めたんだが見つけられなかった。だが、見落としがあるかもしれん。」
「課長も一緒にどうですか?」
「いや。疲れたし腹も減ったんでな、飯にするよ。それに若い人たちのほうが、上手く見つけられるだろう。もしかしたら、真実にもたどり着くかもしれん。」
そう言うと、ハナダはゆったりと部屋から出た。
「……分かりました。じゃ、始めよっか。アタシは奥から調べるよ。」
アヤサキはちょっと首をかしげると、足早に入って奥から調べ始めた。
私もアヤサキの後を追って中に入ろうとしたそのとき、ハナダに肩をぐっと掴まれ、口を塞がれた。
「君がアヤサキくんと同じ部署の社員ではないことは分かっとるよ。さすがに、自分の部下くらい、把握しているからな。そもそも、君はうちの社員ですらないだろう? だがな、君はおそらく、我々の切り札になる。だから今は、アヤサキくんと行動を共にしなさい。彼女は企画部だ。君は、企画部の新入社員だということにしておくといい。」
私が、切り札?
「そうそう、君が探しているものは入ってすぐ右側だ。君なら見つけられるだろう。なあに、持ち出しても構わん。」
そう言うとハナダは、私の口を塞いでいた手を離し、掴んでいた私の肩をぽんぽんと叩いて、去っていった。
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